編み物について

編み物とは、糸から布や立体物を作る方法の一つで、ニットとも呼ばれています。織物が縦糸と横糸の2種類の糸を用いて「一段」ずつ 布地を作り上げるのに対し、編み物は1本の糸から作りあげることができ、結び目を作る要領で「一目」ずつ形を作って行くことが特徴です。 方法としては手による手編みと機械による機械編みがあります。編み物の歴史は織物などに比べて編物の歴史についての資料は少なく、 不明な点も多いようです。石器時代には1本の連続した糸を使って作られる魚網が知られていました。伸縮性のある素材の編み方は 「スプラング」や「ブレーディング」と呼ばれ、青銅器時代に知られていたそうです。現在の編み物に近いもので、年代が確定された 最古のものは、シリアの都市ドゥラから発見された3世紀のものとされています。古代の編み針は、現在のかぎ針に近い形状であったと 考えられています。シリアおよびエジプトが起源となり、ムーア人やアラブ商人からフランスやスペインに伝えられたと推定されています。 産業としての編物はフランスで発展し、16世紀には職人によるギルドが作られました。

編み物は他の手芸と比較して、用具の種類が非常に少ないと言われています。以下に編み物の用具を紹介します。

毛糸が最も一般的で、他にはレース糸、絹糸、刺繍糸、リリアンなどもあります。編物用の毛糸は、染色に用いる染料が同じであっても 製造時のバラツキによって色調が異なることがあるため、同時に染色した製品にロット番号が付いていて、多数の同色の毛糸を必要とする 場合はロット番号の同じ物を用います。

編物に用いる針を編み針と呼びます。棒針は先端がゆるやかに尖った棒状の用具で、竹、金属、プラスチックでできていることが多い ようです。継ぎ目の無い円筒形の衣類を作るために、ビニールなどの柔軟性のある素材でできた輪編み針もあります。 棒の一端は編んだ糸が抜け落ちることを防ぐためキャップなどが付けられることがあります。針の太さは号で表し、数字が大きくなるほど 太くなり、かぎ針、アフガン針は棒針より短く、先端に糸を引っ掛ける溝が付いています。また、糸の編み始めと編み終わりを処理するため、 あるいは編んだものを縫い合わせるために、糸を通す穴の開いた金属製のとじ針も用いられます。裁縫用の針に似ていますが、 先端は鋭く尖っていません。

編み図

編み図は作品を編みすすめる為に完成までを設計した、手順図です。編み図は一定のルールを持つ記号で編み方が表記されているほか、 製作に必要な毛糸の量なども載っています。編み図は雑誌などの書籍を購入するほか、毛糸を販売する店で手に入れることができます。

以下に編み物の種類を紹介します。

棒針編み

棒針編みは棒針と呼ばれる直径2~30ミリ、長さ30センチメートルほどの先がとがった2本の棒で糸をあやつり編み目を作る編み方。 主にセーターやマフラーなどの毛糸を使った衣類を作る時に使用されます。棒針編みは編み目が横1列編みかけの状態で、 針にかかっていて、最後の段は、伏せて綴じる必要があります。編み目は横方向は目と数え、縦方向は段と数えます。一般的な編み方は、 右棒に裏から糸をかけ表に引き抜く「表編み」と、表から糸をかけ裏に引き抜く「裏編み」の2種で、この2つと編み目を飛ばす、 寄せるなどの技法により様々な模様を表現することが出来ます。表編みで編んだ時、手前に見える面を表目、裏側に見える面を裏目と 呼びます。片方の面に表目だけが見える様に編んだ生地を「メリヤス編み」、表目と裏目が横一目ずつ交互に繰り返している 「一目ゴム編み」、横二目ずつ交互に繰り返す「二目ゴム編み」、縦に1段ずつ表目と裏目が繰り返す「ガーター編み」といったものが 基本的な編み方で、その他「縄編み」「藤編み」など、特殊な編み方の種類も数多く、編み方を組み合わせて出来る文様の種類は 数限りありません。基本的な編み方以外で編む事を「模様編み」と呼び、基本的な編み方を使用し、目によって使用する糸の色を換え 模様を編むものを「編みこみ模様」と呼びます。

棒針

棒針は主に竹、プラスティック樹脂、金属などで作成されています。一般に竹製が高級と言われています。金属製は、重いため竹だと 強度が足りない細い針に使用されます。2本針は先に玉がついていて、編んだものが棒から滑り落ちないようになっています。 1段ごとに編地を逆に持ち変えて編むときに使用します。4本針・5本針は両端が針のようになっており、輪編みの様に同じ方向に編み進む時に 使用します。編み糸が脱落しないように、使用していない針先に棒針キャップをつけると良いようです。「輪針」と呼ばれる、 柔軟性があるビニールなどのチューブの両端に針先がついている針もあるようです。一般には4本針・5本針と同じ用途に使用され、 「輪編み」という円筒状の編み物を作ったりしますが、針の部分が短く携帯性が良いため、2本針の代わりに使用する人もいます。 棒針は号数が大きくなると太くなり、0号から15号までありますが、それ以上の太さの針はジャンボ針といわれます。

かぎ針編み

かぎ針編みは、かぎ針と呼ばれる道具を用いる編み物です。昭和40年代頃までは、日本では棒針編みよりもかぎ針編みが盛んでした。 その後、かぎ編みが廃れ、棒針編みが全盛となりますが、近年では手作り雑貨の流行になどにより、かぎ針編みの小物の可愛さや、 針1本でできる手軽さが見直され、再びブームになりつつあるようです。帽子などの小物類、バッグ、あみぐるみ、チョッキ、カーディガン、 テーブルクロス、ドイリーなどを編むことができます。特徴としては、透かし模様は編みやすいようですが、配色模様は編みにくいようです。 棒針編みと比べて、編地の伸縮性が非常に少なく、立体的なものを編むのが比較的容易です。

かぎ針

棒の先端がかぎ爪状になっており、様々な太さがあります。通常、日本では針軸の直径に従って号数で表します。 棒の片側がかぎになっているものを片かぎ針、両側が異なる号数のかぎになっているものを両かぎ針といいます。針軸が樹脂製の太い軸から 出ているタイプのものをペンタイプといいます。軸が太く握りやすいため初心者にお薦めです。

編み方

「平編み」は、端まで行くと編地を裏返して編む編み方。「円編み」は、ぐるぐると一方通行で円を作るように編む編み方、 棒針編みの場合必ず外から編み最後にしぼるのに対して、かぎ針編みの場合ふつうは内から外に編みます。「輪編み」は、セーターの袖 などの円筒形を、ぐるぐると一方通行に編むことを言います。「モチーフつなぎ」は円編みのモチーフを繋ぎ合わせて、 テーブルクロスなどをつくる方法です。繋ぎ方は、モチーフを編みながら繋ぐやり方、後でまとめて繋ぐやり方、 最後に綴じ付けて繋ぐやり方の3通りがあります。「ヘアピン編み」はヘアピンレース棒に糸を8の字に巻きながら中央で細編みを縦に編み、 最後に道具から糸をはずしてブレードをつくり、 このブレードをつなぎ合わせてマフラーなどを作る方法。

メリヤス編み

メリヤス編みとは、縦横方向ともに伸縮性のある布のこと。現代日本の服飾業界やファッション用語としてはニットと同義で扱われ、 ニット製品全般を指します。編み方は、1本または数本の糸を輪の形にした輪奈の中に次の輪奈を入れることを準じ繰り返して布状に 編みます。編み目形状により表メリヤス編みと裏メリヤス編みの二種類の呼び名があります。メリヤス編みの歴史は紀元前の古代エジプト 時代の子供用靴下まで遡ることができるそうです。1589年に英国人の聖職者であるウイリアム・リーが発明したひげ針を用いた平網による 靴下編み機が製造され、これを近代メリヤスの発祥としています。日本のメリヤスは江戸時代の延宝-天和-貞享-元禄のいずれかの時期に 輸入・伝来したとされ、ポルトガル語のメイアシュ・スペイン語のメジアスの転訛とされています。日本語のメリヤスを指す言葉 としては莫大小を当てるが、その理由の一つとして日本国内の旧来の布地に比べて伸縮性があることとする説があります。 日本では昭和30年代頃までは機械織りによる薄地の編物全般をメリヤスと呼称し肌着・靴下等の伸縮性を求める衣類全般、 または伸縮する生地を指していました。1954年にミシンメーカー大手のブラザー工業株式会社が編機分野と家庭電器分野に進出したことで、 機械織りが可能な家庭用編み機が日本全国の家庭でブームとなり、編み物が衣料用生地の主要な位置を占めるようになったそうです。